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東京地方裁判所 昭和43年(ワ)2390号 判決 1969年10月29日

主文

原告に対し、被告日本交通株式会社は金一六一万一八七〇円、被告星野孝之は金一六一万四八七〇円および右各金員に対する昭和四三年四月二〇日以降支払い済みに至るまで年五分の割合による金員の支払いをせよ。

原告の右被告両名に対するその余の請求および被告鈴木泰助に対する請求を棄却する。

訴訟費用は原告と被告日本交通株式会社および被告星野孝之との間においては、原告に生じた費用の各五分の一を右被告両名の負担とし、その余は各自の負担とし、原告と被告鈴木泰助との間においては全部原告の負担とする。

この判決は、原告勝訴の部分に限り、かりに執行することができる。

事実

第一、請求の趣旨

一、被告らは連帯して原告に対し金四五〇万三九〇〇円およびこれに対する被告日本交通株式会社(以下被告会社と略称)は昭和四三年三月一四日、被告鈴木は昭和四三年三月一五日、被告星野は昭和四三年三月一六日以降各支払済みに至るまで年五分の割合による金員の支払いをせよ。

二、訴訟費用は被告らの負担とする。

との判決および仮執行の宣言を求める。

第二、請求の趣旨に対する答弁

一、原告の請求を棄却する。

二、訴訟費用は原告の負担とする。

との判決を求める。

第三、請求の原因

一、(事故の発生)

原告は、次の交通事故によつて傷害を受けた。

(一)  発生時 昭和四二年一〇月一九日午前〇時五分頃

(二)  発生地 東京都板橋区上赤塚町九五番地先路上(川越街道)

(三)  加害車 普通乗用自動車(多摩五ま七〇二九号)

(以下甲車と略称)

運転者 訴外クリホード・A・ナンツ

(四)  加害車 普通乗用自動車(練馬五き四四九六号)

(以下乙車と略称)

運転者 被告鈴木

被害者 原告(乗客)

(五)  態様 乙車が右折しようとした際甲車が衝突

(六)  被害者原告は脳震盪症、左側頭部打撲挫創、前額挫創、頸筋損傷、両臀部打撲症、胸部打撲傷、右足首損傷、右腕打撲傷の重傷を負つた。

(七)  また、その後遺症は次のとおりである。

むち打ち症が甚だしく、頸が曲らず、右足のくるぶしの神経が固まつて玉状となり、激痛があり、且つしびれているし、右腕の神経が皮膚外に突出したため二針縫い、それがため現在でも激痛があり、腕が殆ど動かせない。更に、視力が極端に弱まり、又第一肋骨が曲つて体に力がかかると激痛があり、尾てい骨打撲により中腰しようとすると激痛がある。又、額を九針縫つたのでその創痕が極めて醜い。

二、(責任原因)

被告らは、それぞれ次の理由により、本件事故により生じた原告の損害を賠償する責任がある。

(一)  被告会社は、乙車を、被告星野は甲車をそれぞれ所有し自己のために運行の用に供していたものであるから、人損につき自賠法三条による責任。

(二)  被告会社は被告鈴木を使用し、同被告が被告会社の業務を執行中、後記のような過失によつて本件事故を発生させたのであるから、物損につき民法七一五条一条による責任。

(三)  被告鈴木は、事故発生につき、右折するに際し前後左右の安全確認を怠つた過失があつたから、不法行為者として民法七〇九条の責任。

(四)  訴外ナンツには事故発生につき、右折車が前方にあるのに気づかず慢然と進行した過失があり、被告星野は右事故当時、ナンツが飲酒酩酊して正常な運転ができないことを知りながら、甲車をナンツに運転させ、その横に同乗していたものであり、同被告にもナンツの運転を制止しなかつた重大な過失があつたから、物損につき不法行為者として民法七〇九条の責任。

三、(損害)

(一)  治療費等

(1) 入院中(昭和四二年一〇月一九日から昭和四三年二月二三日まで)の治療費 被告会社が支払済みである。

(2) 入院中の諸経費 (イ)ないし(ヌ)の計三〇万一四〇〇円

(イ) 日用品等購入代 二万〇六八八円

(ロ) 牛乳代 六三〇〇円

(ハ) ガス代 三七七五円

(ニ) 副食費・栄養費 二万八九九二円

(ホ) 見舞客の接待費 三万二三四〇円

(ヘ) 電話代 六五五〇円

(ト) 交通費(原告の夫の病院への往復) 三万二八四〇円

(チ) 交通費(原告) 四三八〇円

(リ) 看護費 一三万八八五〇円

(a) 事故当日から昭和四二年一一月一四日までの河田常子の付添費用 被告会社が支払済み。

(b) 昭和四二年一一月一六日から昭和四三年二月二三日まで、河村常子が付添看護し、原告が支払つた付添費用は一二万六八五〇円である。

(c) 昭和四二年一〇月二六日から同年一一月四日まで、斉藤一枝が付添看護し、その費用は一万二〇〇〇円である。

(ヌ) その他 二万六六八五円

(3) 上入歯の破損 一五万円

(二)  休業損害

原告は、右治療に伴い、次のような休業を余儀なくされ三六〇万円の損害を蒙つた。そのうち一〇〇万円を請求する。

(休業期間) 二年間

(事故時の月収) 吉矢建設株式会社の代表取締役として月一五万円の報酬を得ていた。

(三)  逸失利益

原告は、前記後遺症により、次のとおり、将来得べかりし利益を喪失した。その額は三四一万円と算定される。

そのうち一〇〇万円を請求する。

(事故時) 四三歳

(稼働可能年数) 昭和四四年一〇月一九日以後一八年

(労働能力低下の存すべき期間) 右一八年

(収益) 月収一五万円

(労働能力喪失率) 二〇パーセント

(右喪失率による毎月の損失額) 三万円

(年五分の中間利息控除) ホフマン複式(年別)計算による。

(四)  逸失利益の予備的主張

仮に(二)(三)の主張が認められないとしても、主婦であり、次の損害を蒙つた。そのうち一〇〇万円を請求する。

(1) 二年間家事労働に従事できなかつた損害九四万九〇〇〇円(家政婦と同等の一日一三〇〇円を下らない)

(2) 一日一三〇〇円として(三)同様の計算をすると八九万九〇五二円

(五)  慰藉料

原告の本件傷害による精神的損害を慰藉すべき額は、前記の諸事情および次のような諸事情に鑑み一五〇万円が相当である。

原告は前記傷害により最初四日間人事不省であり、その後も数日間意識がはつきりせず、事故後六日目位から吐き気が約三日間続き、目まいが約一週間続いた。また、全身が痛く身動きできない期間が長く続き、約一ケ月半後から頭痛が出て現在に至つている。

(六)  物損

原告の本件事故による損害は、次のとおりである。

(1) 時計(ハネロンジン、ダイヤ四ケ入)紛失 二八万円

(2) 雨傘破損 三〇〇〇円

(七)  弁護士費用

以上により、原告は四三〇万三九〇〇円を被告らに対し請求しうるものであるところ、被告らはその任意の弁済に応じないので、原告は弁護士たる本件原告訴訟代理人にその取立てを委任し、東京弁護士会所定の報酬範囲内で、原告は手数料および成功報酬として五〇万円を支払うことになつているが、そのうち二〇万円を請求する。

四、(結論)

よつて、被告らに対し、原告は四五〇万三九〇〇円およびこれに対する訴状送達の日の翌日(被告会社は昭和四三年三月一四日、被告鈴木は同月一五日、被告星野は同月一六日)以降支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。

第四、被告会社、被告鈴木の事実主張

一、(請求原因に対する認否)

第一項中(一)ないし(五)は認める。(六)(七)は知らない。

第二項中、(一)につき被告会社が乙車の運行供用者であつたことは認める。(二)(三)につき被告会社が被告鈴木を使用し、同被告が本件事故当時業務の執行中であつたことは認めるが、同被告の過失は否認する。

第三項中、(一)の(1)および(2)の(リ)(c)は認め、その余は不知。

二、(事故態様に関する主張)

被告鈴木は乙車に原告を乗せて川越街道を朝霞方面から池袋方面に向つて進行中、本件事故現場付近において原告の指示に従つて道路反対側の幅員約五米の道路へ右折すべく、前方後方に何ら危険のないことを確かめて右折を開始し、池袋方面より朝霞方面へ向う対向直進車の通過を待つべく車首を右に向けて後車輪が僅かに中央線にかかる位置で停車し、対向車が通過したので発進しようとした際、朝霞方面より池袋方面へ向つて快速力で進行し前方注視を怠つた酩酊運転者ナンツ運転の甲車に後部右側に追突された。

三、(抗弁)

(一)  免責(1)

右のとおりであつて、被告鈴木には運転上の過失はなく、事故発生はひとえに訴外ナンツの過失によるものである。また、被告会社には運行供用者としての過失はなかつたし、乙車には構造の缺陥も機能の障害もなかつたのであるから、被告会社は自賠法三条但書により免責される。

(二)  免責(2)

仮に、被告鈴木に過失があるとしても、被告会社は被告鈴木の選任および事業の監督につき相当の注意をしており、又、本件事故は相当の注意をしても発生したであろうから、被告会社は民法七一五条一項但書により免責される。

第五、被告星野の事実主張

一、(請求原因に対する認否)

第一項中(一)ないし(五)は認める。(六)(七)は知らない。

第二項中、(一)被告星野が甲車の運行供用者であつたことは認める。(四)の中、被告星野がナンツの横に同乗していたことは認めるが、その余は否認する。

第三項中、原告の年令および職業は認め、その余は不知。

第六、抗弁事実に対する原告の認否

被告鈴木の無過失は否認する。

被告鈴木は右折の合図をして一〇粁の速度で一旦右折を開始した後一時停止、後方を確認したところ後方四、五〇米に時速八〇ないし九〇粁で進行して来る甲車を認めたが、なおその前方を右折し得るものと軽信して発進した過失がある。

第七、証拠関係〔略〕

理由

一、(事故の発生)

請求原因第一項(一)ないし(五)の事実は当事者間に争いがない。〔証拠略〕によれば、原告は本件事故により、脳震盪症、左側頭部打撲挫創、前額挫創、頸筋損傷、両臀部打撲傷、前胸部右足関節右手打撲傷の傷害を蒙り、昭和四二年一〇月一九日から昭和四三年二月二三日まで成増病院に入院し(入院については被告会社・被告鈴木と原告との間では当事者間に争いがない)、その後同年四月一九日までに一七回通院して治療を受けたこと、その後昭和四四年七月下旬に至るも頸部・頭部痛がありむち打ち症としての後遺症の程度は自賠法施行令別表等級の一二級一二号に該当することが認められる。顔面の醜状は本件全証拠によるも認められない。

二、(責任原因)

(一)  被告会社は乙車、被告星野は甲車の、それぞれ運行供用者であつたことは当事者間に争いがない。そして、被告鈴木は(二)で説明するとおり無過失とは認められないので、他の要件について判決するまでもなく被告会社の自賠法三条但書の免責は認められない。したがつて、被告会社および被告星野は原告の本件事故による人損の賠償責任がある。

(二)  被告会社が被告鈴木を使用し、同被告が被告会社の業務執行中、本件事故が発生したことは当事者間に争いがない。そこで、被告鈴木の過失について判断する。〔証拠略〕によれば、本件現場付近の川越街道は、車道の幅員一六・六米、その両側にそれぞれ幅員四・二米の歩道があり、車道はアスフアルト舗装で片側三車線の通行区分帯があり、直線で見透しは良好、路面は平坦であり、練馬区旭町方面へ通ずる道路は幅員六米で歩車道の区別はなく、川越街道と直角に丁字型に交差していること、被告鈴木は右丁字型交差点の約二〇米手前の歩道の縁石附近で乗客である原告を乗せ、右折の合図をして先ず後続車(朝霞方面から池袋方面へ向う車)の安全を確かめてから時速約一〇粁の速度で右折を開始し、約二〇度右向きの状態で第二通行帯に入り、そこで後方から池袋方面へ進行する車を通過させるために停止し、その際甲車を二ないし三〇〇米後方に認めたが十分右折できるものと考えて発進し、更に第三通行帯に入り約四〇度の角度で対向車(池袋方面より朝霞方面へ向う車)を通過させるために再び停止し、再び後方(朝霞方面)の安全を確かめたところ、甲車が警笛を鳴らし五ないし六〇米の地点に接近して来たのを認めたが、甲車が僅かでもハンドルを左に切れば衝突は避けられるものと解して、ゆつくり右折を続けたところ、乙車が中央線を超える頃、乙車後部右側に甲車の前部が衝突したこと、これに対し甲車を運転していた訴外ナンツは飲酒後であつたために注意力が散漫であり、乙車に約一二米まで接近して初めて急制動の措置をとつたものであり、通常の注意を払い、より早く急制動の措置をとるか或いは左へハンドルを切れば衝突を回避できたことが認められる。

以上の事実によれば、被告鈴木としては、第二通行帯で一旦停止して発進する際、甲車を発見しながらその通過前に右折し得るとした判断に過誤があつた疑が残り、同被告が無過失であつたことは認められないが、〔証拠略〕によれば、乙車の乗客であつた原告もタクシーの運転手(被告鈴木)が慎重に運転しているのにこれにぶつかるのは無茶であると感じたことが認められ、又、前記甲第四号証の七、一〇、一一によれば被告星野としても同被告が運転していたならば避けられた事故であると考えていることが認められ、衝突部位も前記のように乙車の後部右側であること等に鑑み、積極的に被告鈴木に過失があつたものとは認められない。要するに、本件全証によるも、被告鈴木の「過失」も「無過失」も認められない。

したがつて、被告鈴木の過失を要件とする被告会社の使用者責任は認められない。

(三)  右のとおり、被告鈴木に過失は認められないので、損害額について判断するまでもなく、同被告に対する請求は認められない。

(四)  前記甲第四号証の六ないし一〇によれば、被告星野は訴外ナンツと共に飲酒した後、同人の求めるまま同人をして運転せしめ、自らも助手席に同乗していたものであつて、飲酒運転をさせ、しかも助手席にいながら衝突を防ぐ措置を取らなかつた点に、過失が認められる。したがつて、被告星野は、物損について民法七〇九条により賠償責任がある。

三、(損害)

(一)  治療費等

(1)  入院中の治療費 被告会社が弁済したことは当事者間に争いがない。

(2)  入院中の諸経費

〔証拠略〕によれば、原告は入院中原告主張の各費目の出費をしたことが認められるが、見舞客接待費は、見舞客に対する厚意から支出する費用であつて、交通事故と相当因果関係のある損害として賠償せしめるべきものではなく、付添看護人がついている以上原告の夫の交通費も事故との相当因果関係ありとすることはできず、原告自身の交通費も退院の際の三〇〇円を除いて必要性は疑問であり、三〇〇円の限度で相当因果関係ある損害と認められ、看護費は、斉藤一枝の付添は特に二名の付添が必要であつたものとは認められないから、河村常子に対する一二万六八五〇円の支出の限度で相当因果関係のある損害と認め、ガス代は三七七五円全額を相当因果関係のある損害と認め、日用品等購入代牛乳代・副食費・栄養費・電話代その他の費用は総括して、一日二五〇円、一二八日で計三万二〇〇〇円の限度で事故と相当因果関係のある損害と認める。

したがつて、入院諸経費として被告らに賠償せしめるべき金額は一六万二九二五円である。

(3)  上入歯の破損

原告本人尋問の結果によれば、本件事故の際、原告は上入歯が割れたことが認められるが、その価額についての原告本人尋問の結果は曖昧で俄かに措信し難く、他にこれを証明するに足りる証拠はない。したがつて、本費目の請求は認められない。

(4)  着衣損傷

原告本人尋問の結果によれば、本件事故の際、着衣を損傷し、その衣類は全体で六万九五〇〇円で購入したことが認められるが、事故時までの減価償却を考慮し、原告の損害は少くとも三万五〇〇〇円であつたものと認められる。

(二)  休業損害

原告が本件事故当時吉矢建設株式会社の代表取締役をしていたことは被告星野との間では当事者間に争いがなく、被告会社との関係では〔証拠略〕によつて右事実が認められる。しかし、役員報酬として月に一五万円の収入があつた旨の〔証拠略〕は俄かに措信し難く、〔証拠略〕によつてもこれを認めることはできない。しかし、〔証拠略〕によれば、原告は昭和四三年四月二〇日から生命保険会社に勤務し、前記むちうち症の後遺症にも拘らず二万五〇〇〇円ないし五万円の収入を得たことが認められるので、健康であれば、少くとも平均して五万円の月収はあつたものと認められ、休業期間は事故当日の昭和四二年一〇月一九日から昭和四三年四月一九日までの半年間と認められる。

したがつて、その間の休業損は、三〇万円となる。

(三)  逸失利益

原告のむちうち症の後遺症は、前記のとおり自賠法施行令別表等級の一二級の一二号に該当する。特段の事情の認められない本件においては、労働能力喪失率は、労働基準監督局長通牒により一四パーセントと認めるのが相当であり、逸失利益の見込まれる期間は三年を以て相当と認める。年毎のホフマン式複式計算法により年五分の割合による中間利息を控除して現価を求めると、

60万円×14/100×2.731037≒213,945円

二一万三九四五円となる。

(四)  逸失利益の予備的主張

原告主張の主婦としての逸失利益の収入の基準額は右認定を下廻つており、休業期間、将来の逸失利益の見込み期間は右と同様に認めざるを得ないから、(二)(三)項で認定された金額以上の休業損、逸失利益は認められない。したがつて、予備的主張は理由がない。

(五)  慰藉料

本件事故の態様、傷害の部位程度その他諸般の事情を総合斟酌し、原告の慰藉料は七五万円を以て相当と認める。

(六)  物損

〔証拠略〕によれば、本件事故の際雨傘が破損し、その損害は三〇〇〇円であることが認められるが、〔証拠略〕によれば、事故後約四〇分後に開始された実況見分の際に時計は発見されていないことに照らし、時計が紛失した旨の〔証拠略〕は俄かに措信し難く、他に時計紛失を証明する証拠はない。

(七)  弁護士費用

以上により、原告は被告会社に対しては(一)(二)(三)(五)の計一四六万一八七〇円、被告星野に対しては(一)(二)(三)(五)(六)の計一四六万四八七〇円を、それぞれ請求しうるものであるところ、〔証拠略〕によれば、被告らはその任意の弁済に応じないので、原告は弁護士たる原告訴訟代理人に本件訴訟の提起と追行とを委任し、東京弁護士会所定の報酬範囲内で手数料および報酬を支払うことを約したことが認められるが、本件訴訟の経緯その他諸般の事情に照らし、被告らに賠償せしめるべき金額は、一五万円を以て相当と認める。

四、(結論)

よつて、原告に対し、被告会社は一六一万一八七〇円、被告星野は一六一万四八七〇円および右各金員に対する損害額算定の基準日である昭和四三年四月二〇日から完済まで民法所定年五分の割合による遅延損害金の支払義務(重複部分は連帯債務)があるから、右の限度で原告の本訴請求を認容し、その余の請求を棄却し、訴訟費用の負担につき民訴法八九条、九二条、九三条を、仮執行の宣言につき同法一九六条をそれぞれ適用して主文のとおり判決する。

(裁判官 篠田省二)

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